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月別アーカイブ: 2025年8月

中村瓦のよもやま話~part20~

皆さんこんにちは!
株式会社中村瓦の更新担当の中西です!

 

さて今日は

中村瓦のよもやま話~part20~

~“アップデート瓦”~

近年の極端気象で、棟の飛散・谷からの漏水・突風での瓦ズレといった相談が急増しています。新築だけでなく既存屋根のアップデートで、耐風・耐水・耐久を底上げしましょう。ここでは**3本柱(乾式棟/全数緊結/谷リニューアル)**を中心に、費用対効果の高い手当てを解説します。


1|まず“見える化”から:屋根ドックのすすめ

  • ドローン+高所カメラで全景と要所を撮影。

  • 棟直線性・ケラバの通り・谷板金の光沢ムラをチェック。

  • 屋根裏の湿気・通気ルートも確認。
    写真付きレポートで“今やるべきこと”を優先順位づけします。


2|乾式棟化:棟の弱点を“仕組みで”克服

  • 棟金物+芯木(樹脂or防腐材)+ステンビス連続固定

  • 通気棟と組み合わせ、夏熱・結露を屋外へ排出。

  • 漆喰の剥がれ・ひびに悩む屋根は、乾式化でメンテ周期を延長


3|全数緊結:1枚も“浮かせない”

  • 既存の釘・銅線緊結をステンレスビスへ置換。

  • 端部(軒・ケラバ・棟際)ピッチを詰める特別仕様。

  • 雪止め・風当たり面は金具を増し、面で支える設計に。


4|谷板金リニューアル:漏水の“最後の砦”

  • ステン/ガルバの谷板金幅広+水上立上りで余裕を持たせる。

  • 桟木の切り欠き水返しで毛細管を断つ。

  • 落葉が溜まる立地は**清掃性(点検口)**を優先設計。


5|下地&通気の同時改善で“効きが倍”

  • 野地補強(既存合板の増し張り)でビスの保持力が向上。

  • 軒→棟の通気を連続化し、屋根裏温度・湿度をコントロール。

  • 断熱改修(屋根断熱・遮熱下葺材)も同時に検討すると快適と電気代に効く。


6|施工の“型”——安全・品質チェックリスト

着手前:足場計画/近隣挨拶/搬入経路/養生
施工中

  • 下葺の重ね寸法/谷・立上りの二重処理

  • ビスの座り/緊結ピッチの実測

  • 乾式棟の金物固定トルク
    完了時:通気の連続性/屋根全景・ディテール写真台帳/清掃


7|“30日アップデート計画”(既存屋根の一例)

  • Day1–7:屋根ドック(点検・撮影)→写真レポート/お見積り

  • Day8–14:足場→谷板金交換→下葺増し

  • Day15–21乾式棟化→全数緊結の増し締め

  • Day22–30:通気確認→写真台帳お渡し→年1回点検契約


8|Q&A よくあるご質問

Q. 瓦は重いから地震に不利?
A. 屋根重量だけで耐震性は決まりません。固定・壁量・接合部が重要。全数緊結+野地補強で安全性が高まります。
Q. 洗浄でキレイにしても大丈夫?
A. 高圧直噴はNG。下葺材を傷め、吹き込みの原因に。手作業清掃や低圧での藻・苔処理を。
Q. 費用の目安は?
A. 屋根形状・面積・下地状況で変動します。現地診断→写真付き見積で透明にご提案します。


まとめ

台風・豪雨に強い瓦屋根は、乾式棟×全数緊結×谷板金刷新の“三種の神器”で実現します。
診断→計画→施工→写真台帳→年次点検まで伴走。伝統美を守りながら、いまの気候に耐える屋根へアップデートしましょう。

中村瓦のよもやま話~part19~

皆さんこんにちは!
株式会社中村瓦の更新担当の中西です!

 

さて今日は

中村瓦のよもやま話~part19~

~“雨仕舞いがすべて”~

 

日本の気候は、豪雨・台風・強風・猛暑・寒暖差が激しい。屋根に求められるのは、「雨を入れない・入っても逃がす・劣化を遅らせる」——この三拍子です。瓦屋根は耐久性・断熱性・意匠性に優れ、正しく設計・施工すれば半世紀スパンで建物を守ります。ここでは素材選び→下地→納まり→緊結→点検まで、現場で本当に効く知識を一冊に。


1|瓦の種類と“向き・不向き”

  • 和形(J形):日本の伝統意匠。棟・鬼瓦までの“見せ場”が活きる。

  • 平板(F形):モダン外観にマッチ。太陽光との納まりが◎。

  • S形:波形で陰影がリズミカル。南欧風の外観に。

  • 防災瓦:ロック機構やかみ合わせ強化で耐風・耐震に強い。

選び方の指針
立地(沿岸・多雪・多風)×勾配×意匠×周辺景観×メンテ体制を総合判断。瓦そのものの耐久は50年以上(※釉薬瓦など)を見込めます。


2|“二次防水”が命——下葺きと通気層

  • 下葺材(ルーフィング):改質アスファルト等で重ね方向・寸法を厳守。谷・軒先・立上りは増し張り

  • 野地合板:12mm以上を基本に留め付けピッチを統一。既存下地は腐朽・含水を確認。

  • 通気軒から棟へ空気が抜けるルートを確保。結露を逃がし、夏場の屋根裏温度を抑える。

 二次防水が整っていれば、想定外の吹き込みや結露水が屋内に落ちずに逃げられます。


3|“納まり”の山場——軒先・ケラバ・谷・棟

  • 軒先水返し+防鳥をセット。真っ先に風雨を受けるのでビスピッチ短め

  • ケラバ(妻側):風の巻き込みポイント。働き幅面戸部の処理が要。

  • ステン/ガルバの谷板金十分な幅水上側の立上り。清掃口や点検性も確保。

  • :湿式(漆喰)から**乾式棟(棟金物+芯木+ビス)**へ。通気棟で結露と夏熱を排出。

 仕上げ前に写真検査。ビス座り・端部かみ込み・板金の立上り・下葺の連続性を記録しておくと、後年の保全が段違いに楽です。


4|“全数緊結”と金物で、台風・地震に強く

  • 桟瓦の全数緊結(ステンレスビス/釘)。

  • 棟補強金物+芯木で、棟の持ち上がり・ズレを抑制。

  • 雪止め金具は地域基準で配置。

  • 異種金属接触の絶縁(銅×アルミなど)は必須。

重さ=弱さではありません。固定方法と荷重伝達を正しく設計すれば、瓦屋根は風・揺れにしなやかに強い


5|太陽光との“けんかしない”納まり

  • ハゼ掴み・支持金具野地貫通を極力避ける方式を優先。

  • 配線ルート・点検歩廊を設計段階でセット。

  • パネル周囲の雨仕舞い通気が崩れないディテールに。


6|10分でできるセルフ点検チェック

[ ] 雨上がりに天井のシミ
[ ] 棟の波打ち・ズレ、面戸の欠損
[ ] 谷板金のサビ・穴、落葉詰まり
[ ] 軒樋のオーバーフロー跡
[ ] 強風後の瓦の浮き・割れ
→ 1つでも該当なら専門点検を。高所は絶対に無理をしないでください。


7|葺き替え・部分補修の判断基準

  • 屋根全体の反り・野地の傷みが広範 → 葺き替え検討。

  • 棟・谷の局所劣化 → 乾式棟化・谷板金交換で延命。

  • 築30年超で未点検 → まずは現地診断へ。


瓦屋根は、正しい二次防水×緻密な納まり×全数緊結で“半世紀品質”へ。
現地診断→写真報告→プラン→施工→定期点検まで一気通貫で対応します。
「台風に強くしたい」「棟だけ直したい」など、お気軽にご相談ください。