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中村瓦のよもやま話~part20~

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皆さんこんにちは!
株式会社中村瓦の更新担当の中西です!

 

さて今日は

中村瓦のよもやま話~part20~

~“アップデート瓦”~

近年の極端気象で、棟の飛散・谷からの漏水・突風での瓦ズレといった相談が急増しています。新築だけでなく既存屋根のアップデートで、耐風・耐水・耐久を底上げしましょう。ここでは**3本柱(乾式棟/全数緊結/谷リニューアル)**を中心に、費用対効果の高い手当てを解説します。


1|まず“見える化”から:屋根ドックのすすめ

  • ドローン+高所カメラで全景と要所を撮影。

  • 棟直線性・ケラバの通り・谷板金の光沢ムラをチェック。

  • 屋根裏の湿気・通気ルートも確認。
    写真付きレポートで“今やるべきこと”を優先順位づけします。


2|乾式棟化:棟の弱点を“仕組みで”克服

  • 棟金物+芯木(樹脂or防腐材)+ステンビス連続固定

  • 通気棟と組み合わせ、夏熱・結露を屋外へ排出。

  • 漆喰の剥がれ・ひびに悩む屋根は、乾式化でメンテ周期を延長


3|全数緊結:1枚も“浮かせない”

  • 既存の釘・銅線緊結をステンレスビスへ置換。

  • 端部(軒・ケラバ・棟際)ピッチを詰める特別仕様。

  • 雪止め・風当たり面は金具を増し、面で支える設計に。


4|谷板金リニューアル:漏水の“最後の砦”

  • ステン/ガルバの谷板金幅広+水上立上りで余裕を持たせる。

  • 桟木の切り欠き水返しで毛細管を断つ。

  • 落葉が溜まる立地は**清掃性(点検口)**を優先設計。


5|下地&通気の同時改善で“効きが倍”

  • 野地補強(既存合板の増し張り)でビスの保持力が向上。

  • 軒→棟の通気を連続化し、屋根裏温度・湿度をコントロール。

  • 断熱改修(屋根断熱・遮熱下葺材)も同時に検討すると快適と電気代に効く。


6|施工の“型”——安全・品質チェックリスト

着手前:足場計画/近隣挨拶/搬入経路/養生
施工中

  • 下葺の重ね寸法/谷・立上りの二重処理

  • ビスの座り/緊結ピッチの実測

  • 乾式棟の金物固定トルク
    完了時:通気の連続性/屋根全景・ディテール写真台帳/清掃


7|“30日アップデート計画”(既存屋根の一例)

  • Day1–7:屋根ドック(点検・撮影)→写真レポート/お見積り

  • Day8–14:足場→谷板金交換→下葺増し

  • Day15–21乾式棟化→全数緊結の増し締め

  • Day22–30:通気確認→写真台帳お渡し→年1回点検契約


8|Q&A よくあるご質問

Q. 瓦は重いから地震に不利?
A. 屋根重量だけで耐震性は決まりません。固定・壁量・接合部が重要。全数緊結+野地補強で安全性が高まります。
Q. 洗浄でキレイにしても大丈夫?
A. 高圧直噴はNG。下葺材を傷め、吹き込みの原因に。手作業清掃や低圧での藻・苔処理を。
Q. 費用の目安は?
A. 屋根形状・面積・下地状況で変動します。現地診断→写真付き見積で透明にご提案します。


まとめ

台風・豪雨に強い瓦屋根は、乾式棟×全数緊結×谷板金刷新の“三種の神器”で実現します。
診断→計画→施工→写真台帳→年次点検まで伴走。伝統美を守りながら、いまの気候に耐える屋根へアップデートしましょう。