ブログ

中村瓦のよもやま話~part13~

このエントリーをはてなブックマークに追加
Bookmark this on Livedoor Clip
Bookmark this on Yahoo Bookmark
LINEで送る

皆さんこんにちは!
株式会社中村瓦の更新担当の中西です!

 

さて今日は

中村瓦のよもやま話~part13~

図面の書き出し

ということで、瓦工事業者が現場で正確かつ安全な作業を行うために必要な「図面の書き出し」の意義と、具体的な工程を深掘りしてご紹介します。

 

 

瓦工事は、日本建築の“顔”とも言える屋根を形成する重要な仕上げ工事です。特に地震・風雨にさらされる環境下での耐久性と、美しい外観を保つには、施工前の「図面の書き出し」作業が極めて重要です。


1. 図面の書き出しとは何か?

図面の書き出しとは、設計図や立面図、矩計図を元にして、瓦工事に必要な情報を施工図・割付図・加工指示に変換して整理する作業です。

主な書き出し内容

  • 屋根の勾配・面積・方形ごとの形状

  • 軒先・棟・谷・隅棟の割り付け

  • 桟木・下地との取り合い

  • 棟金具・緊結方法・釘打ち位置

  • 使用瓦の種類・枚数・割り寸法

つまり、“建築意匠”を“施工仕様”に変える翻訳作業ともいえます。


2. 書き出しが重要な理由

✅ 1. 割り付けの正確性が見た目と雨仕舞いに直結

→ 軒先・棟瓦の納まりが揃わないと、見栄えが悪く、雨漏りの原因にもなります。

✅ 2. 地震・風圧に対応した緊結設計が必要

→ 各地域の耐風・耐震基準に基づき、瓦の留め方や桟木配置を図面に明記する必要があります。

✅ 3. 加工・事前準備の効率化

→ 書き出し図を元に瓦のカット寸法や緊結金物の配置が可視化され、現場加工の手戻りを削減できます。


3. 書き出しで必要な具体的図面と情報

図面 内容 目的
屋根伏図 屋根面の形状と寸法 割り付けの基礎
瓦割り図 瓦の敷き方と寸法調整 見た目・勾配・端部処理
棟瓦納まり図 棟部の構造・金物配置 耐震・風圧対策と美観
谷・隅納まり図 谷樋や隅棟との接合部処理 雨仕舞いの要
材料明細表 必要瓦数・金物数 事前発注・ロス削減に活用

4. 書き出しミスがもたらす施工上の問題

  • 瓦が1列足りない/重なりすぎる → 割り付け再調整で手戻り

  • 棟の納まりが図面と違う → 棟芯がズレて美観損失・強度低下

  • 隅棟と瓦の接点不良 → 雨水侵入による漏水・腐食

  • 金物不足 → 施工中断・耐風性能低下

  • 施工中の修正で工期遅延・コスト増加

つまり、「書き出し図の精度」がそのまま現場品質と安全性に直結します。


5. 書き出しを支える職人の判断と経験

図面から施工指示を起こすには、単なるCAD技術ではなく、以下の力が求められます:

  • 勾配に応じた瓦の伸び縮み補正の感覚

  • 棟瓦・巴瓦などの装飾部材の調整経験

  • 現場の野地板寸法・雨仕舞いの理解

  • 地域ごとの慣例納まりと最新技術の融合

これはまさに職人の知見と図面を組み合わせた“設計実務”です。


「瓦は図面に始まり、納まりで決まる」

瓦工事における図面の書き出しは、ただの作業指示ではありません。それは、雨を防ぎ、風に耐え、美しさを支えるための“施工戦略の設計”です。

一枚一枚の瓦を正確に、そして美しく納めるために必要なのは、「正確な図面の書き出し」こそがすべての出発点です。

 

 

お問い合わせはこちら

facebook_face.jpg